ソロモンスクエア

京都民3人が送る探索バラエティ

ジェイソン・ボーンについての考察(ややネタバレ)

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 これまで、ボーンレガシーを除くボーンシリーズを見てきた。回数にしてアイデンティティー7回、スプレマシー5回、アルティメイタム5回ほどになると思う。

昨日、最新作を見ていないというのはどうだろうかと急に思い立ち、タワレコでDVDを買って見ることにしたのだが……

結論から先に言わして貰うと駄作!圧倒的駄作!戦犯!!

これは特に根っからのボーンシリーズファンならかなりの確率で理解して頂けるはず。ネットで調べても不評の嵐…。まず、どうしてつまらないか自分なりに徹底分析することにする。

 

  • 開始早々の設定の荒れ具合

 まず、一つ目は序盤からの再開するまでの設定である。これまでのボーンシリーズを振り返りつつ説明すると、アイデンティティーは記憶を無くしたとこから始まる。スプレマシーアイデンティティーも異国の地で穏やかに暮らす描写から始まる。この3作に共通する始まりは、穏やかな状況から徐々にシリアスな展開へとシフトするところにある。

 ここでジェイソン・ボーンに戻ってみると、いきなりファイトクラブ?的な殴り合いから始まっている。この設定の荒れ具合は恋人マリーを失った悲しみや元エージェントとしてのストレスなど百歩譲って受け入れることにしよう。旧3作ではわからない状況から何が起きているかを視聴者に“悟らせる”のがボーンシリーズの醍醐味であり、代名詞であると私は思っている。しかし、ジェイソン・ボーンではわからない状況のまま話が展開していく。主人公がどうしてファイトクラブしているのかの理由も全然わからない。雑な過去の回想シーンもただ貼り付けただけのようなチープさである。この時点でボーンシリーズの良さが半減している。

 

  • 消滅したエージェントの機械感

 敵・味方問わず、これまでのボーンシリーズのエージェントは妙な機械感があった。それは、国に洗脳されて自分の意志とは無関係に殺し屋を“させられている”かのような感覚を我々に与えてくれた。それが、ジェイソン・ボーンでは消滅している。

 それがある故にボーンの機転の速さ・柔軟性や戦闘応用力が強調されてくるわけである。個人的に一番好きなのはアイデンティティーのプロフェッサー戦である。

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 このシーンでは直接視聴者に分からせないようになっているが、数々の駆け引きが存在している。

1.ボーンは家から出て真っ先にバーベキューピットを爆破させる。この時点で敵の位置を極めて正確に推測し、それに基づいて行動していることを悟らせている。

 

2.煙を利用しボーンは林へ。木々に紛れつつ更に距離を詰める。

 

3.プロフェッサーは素早くサイレンサーを外す。この時点でプロフェッサーはスナイピングでのオペレーションは困難と判断した結果であることを悟らせている。

 

4.プロフェッサーも丘を降り、1vs1での戦いにシフト。ボーンは林を抜け草原に着く

 

5.ボーンは草原での戦いは不利であると判断。鳥の群れが潜んでいることを見つけ空中へ威嚇射撃。かつ鳥の動きを見てプロフェッサーの位置をおおまかに予測する。

 

6.プロフェッサーは、集音での位置特定を困難とし、近距離戦になると予測し、550SRからCZ100へと武器を変更。

 以上、6つの駆け引きが描写されている。このシーンはだいたい5~10分程度のものであるが、それだけの間にもこれだけの細かいやりとりが組み込まれているのだ。しかも、それをあからさまに見せびらかすのではなく、地味に地味に悟らせている。この地味さこそ、ボーンシリーズの象徴といっていい。

 また、ボーンに殺される前にプロフェッサーは“自分は一匹狼であり、お前も俺も同じだ”と言い放つ。自分の意志とは無関係に殺し屋をさせられている運命に抗えない。そのような葛藤すらも感じさせるセリフであった。この一言にエージェントの機械感と仄かに滲み出る人間臭さが描かれているのだ。

 ここで、ジェイソンボーンに戻る。ここで、決定的にダメな点はアセットと呼ばれるエージェントただ一人しか登場しない点である。旧3作では、主要な敵エージェントがかなり出てくる。プロフェッサー然り、ナイフ男然り。しかし、ジェイソン・ボーンでは警察とCIAのモブだけである。アセットの登場もただ凶暴なだけに描かれており、主人公を執拗に狙う理由も逆恨みに近い動機であり、機械感の欠片もない。人間のままである。

 

  • ボーンの機転を生かすシーンの少なさ

 旧3作ではボーンの機転の良さが生きてくるシーンが数多く存在する。これにおいては断然アルティメイタムをおすすめする。

f:id:soromon326:20171226145300j:plain まず、一つ目はこの駅のシーンである。プリペイド携帯を使って記者に指示を出し、追っ手をかわしていくシーンだ。中でも靴ひものシーンは鳥肌ものである。

「4…3…2…1…that's it」

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もう一つは、スペインでの追っ手を交わすに発揮されている。増援が来ると知ったボーンは電話を取り、警察に電話する。スペイン語で「アメリカ人が撃ち合っている」と言い放ち、電話を投げ、部屋に向けて発砲する。

このような、咄嗟の描写が旧3作では数多く盛り込まれている。これもまた前述の機械感に繋がる点でもある。

 

続きは随時追記します

 

カスデヤンス